2023年7月の新潟開催を皮切りに、全国の自治体との協働開催が広がり、約17,000名の親子に職業体験の機会を届けてきた「こどもシゴト博®︎」。(2026年3月現在)
体験格差をなくす取り組みを通じて、子どもたちが今と未来にワクワクできる社会の実現を目指すCHEERS株式会社と、日本全国に営業拠点を持ち、地域社会の支え合いを大切にしてきた明治安田生命保険相互会社。
両者はそれぞれの強みを生かしながら協力し、全国の子どもたちへ職業体験の場を届けつづけています。
年々開催地が拡大しているこどもシゴト博®︎は、 どのような想いからはじまったのか。そして、なにを目指しているのか。全国展開を続ける今だからこそ振り返りたい当時の記憶を、初開催の地・新潟のみなさまに伺いました。
※掲載内容はすべて取材時(2026年2月)の情報に基づいています。

体験格差を生まないために。明治安田とだからできた入場料・出展料のない取り組み。

――こどもシゴト博®︎開催のきっかけを教えてください。
白井:私たちCHEERSはもともと、首都圏を中心に、子どもたちに体験機会を届けてきました。ただ、活動を続けるなかで「もっと全国の子どもたちに届ける方法はないだろうか」という想いが強くなり、その実現方法を模索していました。
そんななかご縁をいただいたのが、明治安田さんでした。
地元を元気にする活動を推進し、全国各地に約3万7千人のMYリンクコーディネーターさん(営業職員・以下LCと略)がいる明治安田さんとなら、もっともっと地域に根ざした体験の機会を作ってあげられるのではと思い、こどもシゴト博®︎の構想がスタートしました。
――初開催に向け、当時どのような対話を重ねながら実施に至ったのでしょうか。
白井:私たちは、家庭の経済状況によって子どもたちの体験に差が生まれてしまう、いわゆる「体験格差」をなくしたいという想いから事業をスタートしています。だからこそ、子供たちに体験や挑戦機会を、“無償”で届けることに一つこだわりを持っています。
そこでまずご相談させていただいたのが、参加親子の入場料をいただかないこと。あわせて、本来こうしたイベントは企業さまからの出展料も運営費に充てられるものですが、地元の様々な企業さまにハードルなくご出展いただけるよう、企業側の出展料もいただかない形を提案させていただきました。
このモデルを実現するのは簡単ではありませんでしたが、当時の新潟支社さんが「親子からも企業からもお金はいただかない形で開催しましょう」と言ってくださったのが、とても印象に残っています。
子どもたちの輝く未来と、ママの孤立をなくす挑戦。

――こどもシゴト博®︎の取り組みで、目指していることを教えてください。
白井:大きく2つあります。1つ目は、子どもたちが地元の魅力や文化に触れ、さまざまな職業を知ることで、未来に希望を持ち、地域に愛着を感じられること。もう1つは、子育て世代の孤独や孤立を防ぐことです。
今は核家族化が進み、家庭のなかで孤独を感じている方も少なくないと感じています。ママや子どもたちが社会との接点を日常的に持つことで、「助けて」と声を上げるもっと手前の段階から、自然に助け合える関係が生まれるのではないかと考えています。
こどもシゴト博®︎は年に一度のイベントですが、LCさんの「イベントに遊びにこない?」という一言をきっかけに、助け合える関係性が広がっていく可能性を感じています。
「いつも助けてくれてありがとう」「楽しい機会をありがとう」といった言葉が自然に交わされ、地域のなかで感謝や応援が循環する社会をつくっていきたいです。
地域の未来を信じて。不安の先にあったこどもシゴト博®︎の価値。

――CHEERS白井から、こどもシゴト博®︎の構想を聞いたとき、どのように感じましたか。
古賀:これまでにやったことのない取り組みでしたが、地元の子どもたちや企業、自治体にとって意味のあることを考えたとき、「これは地域のためになる」と直感的に思いました。
私自身、新潟にはお世話になったという想いもあったので、恩返しの一つとして取り組めるのではないかと感じ、ワクワクしながらスタートしました。
――初開催に向けた準備期間のなかで、どのようなことが印象に残っていますか。
古賀:イベントをやること自体が目的ではなく、その先でなにを実現するのかが重要だと考えていました。
新潟の課題は人口流出です。子どもたちが地元企業と出会い、「ここで働きたい」と思うきっかけをつくることができれば、地域の未来につながるのではないかと思いました。
出展企業集めでは、最初に声をかけた笹団子の田中屋さんが「ぜひやりましょう」と二つ返事でお引き受けしてくださり、それを起点にどんどん出展企業さまが集まりました。地元に対する想いに応えてくださった企業のみなさまには、本当に感謝しています。
――開催当日の印象はいかがでしたか。
古賀:準備段階では不安もありました。ただ、会場のドアを開けた瞬間、一斉に入ってきた子どもたちの姿を見て、「やってよかった」と心から思いました。
子どもたちが楽しそうに体験している姿、それを見守る親御さん、そして企業のみなさんも一緒に笑顔になっている光景を目にしたとき、この取り組みの価値を実感しました。
帰り際、「来年もやってね」と泣きながら声をかけてくれた子がいて、そのときは思わず涙が出ました。
みんなにとっての「いい」を、全国へ。

――こどもシゴト博®︎の意義をどのように捉えていますか。
古賀:この取り組みの特徴は、関わるすべての人に価値があることです。
子どもたちにとっては将来を考えるきっかけとなり、親御さんにとっては地域とのつながりをつくる機会となる。出展企業のみなさまにとっては自社の魅力を伝える場となり、私たち明治安田にとっては地域との関係を深める機会になります。
こうした社会的価値を生み出しながら、同時に、明治安田が多くの地域の方と新しい接点を持たせていただくといった思わぬ副次的な効果も実感しました。そういった要素が、この取り組みの拡大にも寄与しているのではないかと考えています。
――今後、この取り組みがどのように広がっていくことを期待されていますか。
古賀:私たちは全国を網羅する支社網を持ち、約3万7,000人のLCが活動しています。だからこそ、地域間格差を生んではいけないと感じています。
こどもシゴト博®︎をもっともっと多くの地域で開催することで、全国の子どもたちが笑顔になり、地域が活気づいていく。その積み重ねが、やがて日本全体の元気につながっていくと信じています。
きっかけは「縁」。未来へつなぐ、文化と歴史。

――こどもシゴト博®︎に出展されたきっかけを教えてください。
田中屋:きっかけは、明治安田の長谷川さんからいただいたご縁でした。長くお世話になっていた長谷川さんから、当時支配人だった母にお声がけいただき、二つ返事でお引き受けしました。
こどもシゴト博®︎に関わるなかで、自分たちの事業と重なる部分が多いことにも気づき、現在まで4年間、継続して参加させていただいています。
――初開催に向けての準備や当日の印象はいかがでしたか。
田中屋:初回はスケジュールが非常にタイトななかでのスタートでした。それでも、ご縁をいただいた以上、しっかり子どもたちと向き合いたいという想いで準備を進めました。
当日は、正直に言うと笑顔で対応できていたかどうかも覚えていないほど、あっという間の時間でした。ただ、子どもたちの反応を見ながら関わり方を考えるなかで、スタッフにとっても多くの学びがありました。
――印象に残っているエピソードを教えてください。
田中屋:地元開催ということもあり、地域に住む親子が多く参加してくださいます。「田中屋さんに行ったことあるよ」「このお菓子が好きなんだ」と子どもたちから直接声をかけてもらえることは、本当にうれしい瞬間です。
一方で、笹団子は知っていても、実際に作ったことはないという子どもも少なくありません。体験を通じて「こうやって作られているんだ」と目をキラキラ輝かせる姿は、とても印象に残っています。
こどもシゴト博®︎をきっかけに、後日店舗へ「きたよー!」と足を運んでくれる親子もいます。そこから会話が生まれ、新しい関係性が広がっていくことを実感しています。
――初開催時から継続して出展いただくなかで感じることはありますか。
田中屋:笹団子は長い歴史のなかで受け継がれてきましたが、これから先も100年、200年と続いていくためには、若い世代に触れてもらうことが欠かせません。
こどもシゴト博®︎は私たちの歴史や文化を守っていくうえで、とても大切な場になっています。
こどもシゴト博®︎を支える「想い」と「責任」

――こどもシゴト博®︎の構想を聞いたときどう思われましたか。
長谷川:社内で初めてこどもシゴト博®︎の話を聞いたときは、「すごいことをやろうとしているな」と感じました。打ち合わせの際、ホワイトボードいっぱいにやりたいことが書かれていて、新しい取り組みに関われることがとても楽しみだったのを覚えています。
なにより、それをお客様にご案内できることがうれしく、「どんなものになるのだろう」とワクワクしながら関わらせていただきました。
――準備期間で印象に残っていることはありますか。
長谷川:初回の説明会で、出展企業のみなさまから「集客も一緒にやっていいか」というお話がありました。そのとき弊社の古賀が、「集客は当社のLCが責任をもって行います」とはっきり伝えたんです。
その言葉を聞いたとき、「これは本気の取り組みなんだ」と感じました。同時に、私たちLCも、責任を持って関わらなければならないと強く思いました。
――実際に開催された当日の様子はいかがでしたか。
長谷川:当日は、朝早くから多くの企業の方が集まり、会場をつくりあげていく姿を見て、「これからすごいことがはじまる」と感じました。
企業のみなさまは何日も準備を重ね、当日も一日中子どもたちと向き合いながら、笑顔で親子を迎えていました。その姿を見て、「人の想いでつくられているイベントなんだ」と強く感じました。
――こどもシゴト博®︎に対する想いをお教えください
長谷川:以前、「人に優しくするとはどういうことか」という記事を読んだことがあります。そこには、「相手を思う気持ちが大切だ」と書かれていました。
こどもシゴト博®︎では、まさにそれを実感しています。企業の方も、スタッフの方も、みんなが子どもたちのために真剣に動いている。その姿を見るたびに、私たちLCもより責任を持って、この取り組みに向き合っていかなければならないと感じています。
保険営業の立場を超え、地域とともに歩む存在へ。

――こどもシゴト博®︎のなかで、印象に残っていることはありますか。
渡辺:普段の業務では、ご家族全員とお会いする機会はほとんどありません。しかし、こどもシゴト博®︎ではご家族みなさんとお会いすることができます。
初回は幼稚園に通っていたお子さんが、翌年には小学生になっていたり、抱っこで参加していた子が、お母さんと手をつないで歩いていたり。普段の訪問では知ることのできない成長の姿を見せていただくことで、ご家族への親しみが自然と深まっていきます。
回を重ねるごとに「お子さん、大きくなりましたね」と声をかけられる関係が生まれているのは、このイベントならではだと感じています。
髙辻:「こどもシゴト博®︎」では、多くの地元企業のみなさまにご出展いただいています。そのなかでいただく「出展してよかった」というお声は、私たちにとってなによりの喜びです。
子どもたちや親御さんに地元企業の魅力を届けながら、一緒になってイベントを楽しみ、「世の中にはたくさんの仕事があるんだよ」と伝えられるのは、こどもシゴト博®︎ならではだと感じます。
――こどもシゴト博®︎の意義をどのように感じていますか。
髙辻:企画段階から、「これはお客さまやそのお子さまにとって、きっとかけがえのない時間になる」という確信がありました。だからこそ、一人でも多くの方に、早くお声がけしたいと思っていました。
なかにはおじいちゃん・おばあちゃんまで一緒に来てくださるご家庭もあり、みなさんが笑い合っている姿を見ると、「この取り組みを地元で実現できてよかった」「お誘いしてよかった」と心から思います。
渡辺:最近は核家族化が進み、ご家族だけで子育てをされているケースが多いと感じています。
私も2人の子どもを育てましたが、こどもシゴト博®︎のような場があることで、家族だけでなく、地域の企業や私たちのような存在も含めて、社会全体で子どもたちを見守ることができると感じています。
